第5章 IoTにおける通信方式を知るの要点
近距離無線、LPWA、5G、通信プロトコルを整理

更新日 2026年10月26日 読む時間の目安 約6分
この記事の要点
  • 第5章は、IoT のデバイスやゲートウェイをつなぐ通信方式の章です。近距離の無線、LPWA、有線とLAN、5G、通信プロトコルまで出ます。
  • ZigBee・Z-Wave・Wi-SUN、Sigfox・ELTRES、MQTT・CoAP・REST のように、名前が似た規格の特徴の違いが問われます。
  • 用語は「どの範囲・どの層の通信か」で6つに分けると、覚えやすくなります。
この記事の目次
  1. この章で問われること
  2. 6つのまとまりと押さえる用語
  3. 取り違えやすい組み合わせ
  4. この章の勉強の進め方
  5. 第5章の問題を解いてみる
  6. よくある質問

この章で問われること

第5章「IoTにおける通信方式を知る」は、IoT のデータを運ぶ通信の規格と方式を扱います。前の第4章までで学んだデバイスや応用システムが、どんな通信でつながるのかを整理する章です。次の第6章では、集めたデータをどう活用するかに進みます。

本番の60問のうち、第5章からは7問前後と予想しています。もちこ道場の模擬試験(60問・60分)は、全8章からほぼ均等に問題を出す作りで、第5章からは7問を出しています。試験全体の約12%にあたります。

もちこ道場の第5章の問題は90問です。本番と同じ3つの形式に分けると、次のようになります。

形式 問題数
穴埋め(1か所) 30問
穴埋め(組み合わせ) 30問
誤った記述を選ぶ 30問

出てくる用語は、次の6つのまとまりに分けると整理しやすくなります。

第5章の用語の6つのまとまり 1. 近距離の無線 BLE・NFC・ZigBee 2. LPWA Sigfox・ELTRES・NIDD 3. 有線とLAN Ethernet・PON・PLC 4. 移動通信と5G ローカル5G・sXGP 5. 通信プロトコル MQTT・CoAP・REST 6. 構成と省電力 メッシュ・スリープ
第5章の用語の6つのまとまり(もちこ道場のまとめ)

6つのまとまりと押さえる用語

1. 近距離の無線

用語 ひとことで
BLE Bluetooth 4.0 で加わった。距離は短く低速だが消費電力が小さい
NFC 13.56MHz の電波を使う、通信距離10cm程度の近距離無線。交通系ICカードなどに使われる
ZigBee センサネットワーク向け。IEEE802.15.4 がベースで、マルチホップ通信ができる
Z-Wave 900MHz帯を使い、全端末でフルメッシュネットワークを構成できる
Wi-SUN 自動メータ検針のために策定。スマートメータ間のマルチホップ通信で遠方のデータも集約装置へ届ける
IEEE802.11ah IoT エリアネットワーク向けの無線LAN規格。日本では920MHz帯を使う

2. LPWA

用語 ひとことで
LPWA セルラー網とは別に IoT 向けに規格化された、省電力・低コストで広い範囲の通信の総称
Sigfox 1回の伝送量を12バイト、速度を100bpsに抑え、低コストと長い電池駆動を実現する
ELTRES ソニーが発表した国内発の規格。高速移動体への対応と GNSS 標準搭載が特徴
NIDD IP を使わず、NB-IoT の制御信号にデータを載せる。オーバーヘッドと攻撃リスクを減らす

3. 有線と LAN

用語 ひとことで
CSMA/CD Ethernet で、衝突が起きたら送信を止め、ランダムな時間をおいて再送する制御方式
PON FTTH で最もよく採用される構成。光ファイバを光カプラで分岐して複数の家へ引き込む
PLC 既設の電灯線などの電力線を伝送路に使う
DFS 5GHz帯の無線LANを屋外で使うとき、気象レーダの干渉波を検出するとチャネルを変える

4. 移動通信と 5G

用語 ひとことで
5G の特徴 超高速・大容量に加え、超高信頼・低遅延、超大量デバイス接続
ローカル5G 携帯電話事業者とは独立した自営設備で作る 5G ネットワーク
Beyond 5G 5G の次世代。5G の特徴を高度化し、超低消費電力なども加わる
sXGP 1.9GHz帯を使う、免許不要の LTE ベースの自営無線システム
ハンドオーバ 移動中の端末が、通信する基地局を電波の強い近隣局へ切り替える

5. 通信プロトコルとエネルギー管理

用語 ひとことで
MQTT パブリッシャー、サブスクライバー、ブローカーの発行・購読型
CoAP IETF が IoT 向けに標準化した。HTTP との互換性を保ちつつ軽量
REST HTTP の URL にアクセスし、XML や JSON で受け取る
ECHONET Lite スマートハウス向けの IP ベースの仕様。国内では HEMS 向けの標準プロトコル
CEMS 家庭・商用ビル・工場・発電所などを含む、地域全体のエネルギー管理

6. ネットワークの構成と省電力

用語 ひとことで
IoTゲートウェイ IoT エリアネットワークと広域通信網の間で、通信方式の違いを変換する
メッシュ型 ノードを網の目状につなぎ、経路が途切れても別経路でホップさせられる
マルチホップ通信 中継を重ねて、遠くまでデータを届ける
スリープ 普段は電源オフに近い状態で待機し、必要なときだけ送受信して電力を抑える
バイナリ形式 テキスト形式より小さくなり、1回の送信時間を短くできる

取り違えやすい組み合わせ

選択肢には、同じまとまりの規格が並びます。次の組み合わせは、一言で言い分けられるようにしておきます。

組み合わせ 見分け方
ZigBee・Z-Wave・Wi-SUN IEEE802.15.4 ベース(ZigBee)、900MHz帯のフルメッシュ(Z-Wave)、スマートメータ向け(Wi-SUN)
Sigfox と ELTRES 伝送量を小さく抑えて低コスト(Sigfox)か、高速移動体対応と GNSS 標準搭載(ELTRES)か
MQTT・CoAP・REST 発行・購読型(MQTT)、UDP で軽量(CoAP)、HTTP と URL(REST)
ローカル5G と sXGP 5G の自営網(ローカル5G)か、LTE ベースの免許不要の自営網(sXGP)か
BLE と NFC 小さな電力で数年動く(BLE)か、10cm程度の近距離(NFC)か
メッシュ型とマルチホップ通信 ノードの並べ方(メッシュ)か、中継を重ねて届ける通信のしかた(マルチホップ)か
ECHONET Lite と CEMS スマートハウス向けの通信仕様(ECHONET Lite)か、地域全体のエネルギー管理(CEMS)か

この章の勉強の進め方

  1. 6つのまとまりの名前を覚え、用語を見たら「どのまとまりの話か」を言えるようにします。
  2. 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
  3. 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。

勉強の全体の計画は「勉強時間の目安と1か月の計画」にまとめています。

第5章の問題を2問、解いてみる

もちこ道場の第5章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。

問1

IoTシステムで使用される通信プロトコルのうち、メッセージの発行者であるパブリッシャー、メッセージを購読するサブスクライバー、両者の仲介役となるブローカーで構成される、メッセージ発行・購読型のモデルを採用しているプロトコルは1である。

答えと解説を見る

正解は 1(MQTT)です。

【概要】

MQTTは、パブリッシャー、サブスクライバー、両者を取り持つブローカーで構成される発行・購読型のモデルを用いたプロトコルである。

【図解】実験的機能

MQTT のブローカーによる配信と QoS MQTT のブローカーによる配信と QoS

図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。

【各選択肢の解説】

  • 1. MQTT正解あなたの解答 MQTTではブローカーが受け取ったトピック付きデータを、そのトピックを登録した購読者全員に転送する。
  • 2. HTTPあなたの解答 HTTPはWebサーバとクライアントが文書などをやりとりするプロトコルであり、ブローカーを介する購読型ではない。
  • 3. CoAPあなたの解答 CoAPはHTTP互換を保ちつつヘッダを削減した軽量なWeb転送プロトコルであり、発行・購読型のモデルではない。
  • 4. ECHONET Liteあなたの解答 ECHONET Liteはスマートハウスの設備系機器向けの規格であり、ブローカーを介する発行・購読モデルではない。

問2

省エネ通信方式で用いられるネットワーク構成の中で、複数のノードが網の目状に接続され、ある経路が遮断されても別の経路を使ってバケツリレー式にデータを中継できる信頼性の高い構成を1型と呼ぶ。

答えと解説を見る

正解は 2(メッシュ)です。

【概要】

メッシュ型は複数のノードを網の目状につなぐ構成で、1つの経路が途切れても別経路でデータをホップさせられるため信頼性が高い。

【図解】実験的機能

スター型・ツリー型・メッシュ型のトポロジと中継ノードの電源 スター型・ツリー型・メッシュ型のトポロジと中継ノードの電源

図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。

【各選択肢の解説】

  • 1. スターあなたの解答 スター型は中心の装置に各デバイスが直接つながる構成であり、網の目状に別経路へ迂回する構成ではない。
  • 2. メッシュ正解あなたの解答 メッシュ型は伝送ルートが遮断されても別ルートを使えるため、コスト増になりがちだが信頼性を高められる。
  • 3. ツリーあなたの解答 ツリー型はノードが枝分かれ状に階層化した構成であり、経路が遮断されたときに別経路へ迂回できる網の目ではない。
  • 4. ポイント・ツー・ポイントあなたの解答 ポイント・ツー・ポイント型は2点を1対1で結ぶ構成であり、複数ノードで中継経路を選べる構成ではない。
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よくある質問

第5章はどの章とつながっていますか?

第2章の「エリア網」「広域網」で出てきた通信の中身を、第5章で具体的な規格として見ます。通信の安全は第7章のセキュリティで扱います。

MQTT・CoAP・REST はどう見分けますか?

MQTT は、パブリッシャー、サブスクライバー、ブローカーで構成される発行・購読型です。CoAP は HTTP との互換性を保ちつつ、ヘッダのバイナリ化と UDP 接続で軽量化したものです。REST は HTTP でパラメータ付きの URL にアクセスし、XML や JSON のメッセージを受け取ります。

電波の周波数が高いと、何が変わりますか?

周波数が高いほど電波は直進しやすく、建物の裏などへ回り込みにくくなります。一方で高速伝送に向き、アンテナの大きさも小さくできます。

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出典・注記

出題範囲は、2026年10月26日にMCPC の公式ページで確認しました。用語の説明は、もちこ道場の問題と解説をもとにまとめたものです。

  1. IoTシステム技術検定 基礎(MCPC 公式)