第5章 IoTにおける通信方式を知るの要点
近距離無線、LPWA、5G、通信プロトコルを整理
- 第5章は、IoT のデバイスやゲートウェイをつなぐ通信方式の章です。近距離の無線、LPWA、有線とLAN、5G、通信プロトコルまで出ます。
- ZigBee・Z-Wave・Wi-SUN、Sigfox・ELTRES、MQTT・CoAP・REST のように、名前が似た規格の特徴の違いが問われます。
- 用語は「どの範囲・どの層の通信か」で6つに分けると、覚えやすくなります。
この章で問われること
第5章「IoTにおける通信方式を知る」は、IoT のデータを運ぶ通信の規格と方式を扱います。前の第4章までで学んだデバイスや応用システムが、どんな通信でつながるのかを整理する章です。次の第6章では、集めたデータをどう活用するかに進みます。
本番の60問のうち、第5章からは7問前後と予想しています。もちこ道場の模擬試験(60問・60分)は、全8章からほぼ均等に問題を出す作りで、第5章からは7問を出しています。試験全体の約12%にあたります。
もちこ道場の第5章の問題は90問です。本番と同じ3つの形式に分けると、次のようになります。
| 形式 | 問題数 |
|---|---|
| 穴埋め(1か所) | 30問 |
| 穴埋め(組み合わせ) | 30問 |
| 誤った記述を選ぶ | 30問 |
出てくる用語は、次の6つのまとまりに分けると整理しやすくなります。
6つのまとまりと押さえる用語
1. 近距離の無線
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| BLE | Bluetooth 4.0 で加わった。距離は短く低速だが消費電力が小さい |
| NFC | 13.56MHz の電波を使う、通信距離10cm程度の近距離無線。交通系ICカードなどに使われる |
| ZigBee | センサネットワーク向け。IEEE802.15.4 がベースで、マルチホップ通信ができる |
| Z-Wave | 900MHz帯を使い、全端末でフルメッシュネットワークを構成できる |
| Wi-SUN | 自動メータ検針のために策定。スマートメータ間のマルチホップ通信で遠方のデータも集約装置へ届ける |
| IEEE802.11ah | IoT エリアネットワーク向けの無線LAN規格。日本では920MHz帯を使う |
2. LPWA
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| LPWA | セルラー網とは別に IoT 向けに規格化された、省電力・低コストで広い範囲の通信の総称 |
| Sigfox | 1回の伝送量を12バイト、速度を100bpsに抑え、低コストと長い電池駆動を実現する |
| ELTRES | ソニーが発表した国内発の規格。高速移動体への対応と GNSS 標準搭載が特徴 |
| NIDD | IP を使わず、NB-IoT の制御信号にデータを載せる。オーバーヘッドと攻撃リスクを減らす |
3. 有線と LAN
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| CSMA/CD | Ethernet で、衝突が起きたら送信を止め、ランダムな時間をおいて再送する制御方式 |
| PON | FTTH で最もよく採用される構成。光ファイバを光カプラで分岐して複数の家へ引き込む |
| PLC | 既設の電灯線などの電力線を伝送路に使う |
| DFS | 5GHz帯の無線LANを屋外で使うとき、気象レーダの干渉波を検出するとチャネルを変える |
4. 移動通信と 5G
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 5G の特徴 | 超高速・大容量に加え、超高信頼・低遅延、超大量デバイス接続 |
| ローカル5G | 携帯電話事業者とは独立した自営設備で作る 5G ネットワーク |
| Beyond 5G | 5G の次世代。5G の特徴を高度化し、超低消費電力なども加わる |
| sXGP | 1.9GHz帯を使う、免許不要の LTE ベースの自営無線システム |
| ハンドオーバ | 移動中の端末が、通信する基地局を電波の強い近隣局へ切り替える |
5. 通信プロトコルとエネルギー管理
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| MQTT | パブリッシャー、サブスクライバー、ブローカーの発行・購読型 |
| CoAP | IETF が IoT 向けに標準化した。HTTP との互換性を保ちつつ軽量 |
| REST | HTTP の URL にアクセスし、XML や JSON で受け取る |
| ECHONET Lite | スマートハウス向けの IP ベースの仕様。国内では HEMS 向けの標準プロトコル |
| CEMS | 家庭・商用ビル・工場・発電所などを含む、地域全体のエネルギー管理 |
6. ネットワークの構成と省電力
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| IoTゲートウェイ | IoT エリアネットワークと広域通信網の間で、通信方式の違いを変換する |
| メッシュ型 | ノードを網の目状につなぎ、経路が途切れても別経路でホップさせられる |
| マルチホップ通信 | 中継を重ねて、遠くまでデータを届ける |
| スリープ | 普段は電源オフに近い状態で待機し、必要なときだけ送受信して電力を抑える |
| バイナリ形式 | テキスト形式より小さくなり、1回の送信時間を短くできる |
取り違えやすい組み合わせ
選択肢には、同じまとまりの規格が並びます。次の組み合わせは、一言で言い分けられるようにしておきます。
| 組み合わせ | 見分け方 |
|---|---|
| ZigBee・Z-Wave・Wi-SUN | IEEE802.15.4 ベース(ZigBee)、900MHz帯のフルメッシュ(Z-Wave)、スマートメータ向け(Wi-SUN) |
| Sigfox と ELTRES | 伝送量を小さく抑えて低コスト(Sigfox)か、高速移動体対応と GNSS 標準搭載(ELTRES)か |
| MQTT・CoAP・REST | 発行・購読型(MQTT)、UDP で軽量(CoAP)、HTTP と URL(REST) |
| ローカル5G と sXGP | 5G の自営網(ローカル5G)か、LTE ベースの免許不要の自営網(sXGP)か |
| BLE と NFC | 小さな電力で数年動く(BLE)か、10cm程度の近距離(NFC)か |
| メッシュ型とマルチホップ通信 | ノードの並べ方(メッシュ)か、中継を重ねて届ける通信のしかた(マルチホップ)か |
| ECHONET Lite と CEMS | スマートハウス向けの通信仕様(ECHONET Lite)か、地域全体のエネルギー管理(CEMS)か |
この章の勉強の進め方
- 6つのまとまりの名前を覚え、用語を見たら「どのまとまりの話か」を言えるようにします。
- 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
- 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。
勉強の全体の計画は「勉強時間の目安と1か月の計画」にまとめています。
第5章の問題を2問、解いてみる
もちこ道場の第5章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。
問1
IoTシステムで使用される通信プロトコルのうち、メッセージの発行者であるパブリッシャー、メッセージを購読するサブスクライバー、両者の仲介役となるブローカーで構成される、メッセージ発行・購読型のモデルを採用しているプロトコルは1である。
答えと解説を見る
正解は 1(MQTT)です。
【概要】
MQTTは、パブリッシャー、サブスクライバー、両者を取り持つブローカーで構成される発行・購読型のモデルを用いたプロトコルである。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. MQTT正解あなたの解答 MQTTではブローカーが受け取ったトピック付きデータを、そのトピックを登録した購読者全員に転送する。
- 2. HTTPあなたの解答 HTTPはWebサーバとクライアントが文書などをやりとりするプロトコルであり、ブローカーを介する購読型ではない。
- 3. CoAPあなたの解答 CoAPはHTTP互換を保ちつつヘッダを削減した軽量なWeb転送プロトコルであり、発行・購読型のモデルではない。
- 4. ECHONET Liteあなたの解答 ECHONET Liteはスマートハウスの設備系機器向けの規格であり、ブローカーを介する発行・購読モデルではない。
問2
省エネ通信方式で用いられるネットワーク構成の中で、複数のノードが網の目状に接続され、ある経路が遮断されても別の経路を使ってバケツリレー式にデータを中継できる信頼性の高い構成を1型と呼ぶ。
答えと解説を見る
正解は 2(メッシュ)です。
【概要】
メッシュ型は複数のノードを網の目状につなぐ構成で、1つの経路が途切れても別経路でデータをホップさせられるため信頼性が高い。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. スターあなたの解答 スター型は中心の装置に各デバイスが直接つながる構成であり、網の目状に別経路へ迂回する構成ではない。
- 2. メッシュ正解あなたの解答 メッシュ型は伝送ルートが遮断されても別ルートを使えるため、コスト増になりがちだが信頼性を高められる。
- 3. ツリーあなたの解答 ツリー型はノードが枝分かれ状に階層化した構成であり、経路が遮断されたときに別経路へ迂回できる網の目ではない。
- 4. ポイント・ツー・ポイントあなたの解答 ポイント・ツー・ポイント型は2点を1対1で結ぶ構成であり、複数ノードで中継経路を選べる構成ではない。
第5章のほかの問題は、ベーシックプランで解けます。まずは登録なしで、第1章の90問を試せます。
よくある質問
第5章はどの章とつながっていますか?
第2章の「エリア網」「広域網」で出てきた通信の中身を、第5章で具体的な規格として見ます。通信の安全は第7章のセキュリティで扱います。
MQTT・CoAP・REST はどう見分けますか?
MQTT は、パブリッシャー、サブスクライバー、ブローカーで構成される発行・購読型です。CoAP は HTTP との互換性を保ちつつ、ヘッダのバイナリ化と UDP 接続で軽量化したものです。REST は HTTP でパラメータ付きの URL にアクセスし、XML や JSON のメッセージを受け取ります。
電波の周波数が高いと、何が変わりますか?
周波数が高いほど電波は直進しやすく、建物の裏などへ回り込みにくくなります。一方で高速伝送に向き、アンテナの大きさも小さくできます。
もちこ道場
章ごとの問題と本番形式の模擬試験で、合格の力を確かめる
公式テキストの全8章から作ったオリジナルの予想問題を、スマホ・PC で解ける Web 演習サービスです(運営者が作っています)。
500円
31日間・買い切り・自動更新なし
- 全8章 720問○
- 選択肢ごとの解説○
- 全問の解説に図解○
- 模擬試験(60問・60分)なし
1,000円
31日間・買い切り・自動更新なし
- 全8章 720問○
- 選択肢ごとの解説○
- 全問の解説に図解○
- 模擬試験(60問・60分)○
無料体験は登録不要です。
次に読む
IoTシステム技術検定 基礎の第4章「IoT応用システムを理解する」で問われる用語を、6つのまとまりと取り違えやすい組み合わせで整理しました。第4章の問題を2問、その場で解いて確かめられます。
IoTシステム技術検定 基礎の第6章「IoTでデータを活用する」で問われる用語を、6つのまとまりと取り違えやすい組み合わせで整理しました。第6章の問題を2問、その場で解いて確かめられます。
IoTシステム技術検定 基礎の勉強時間の目安を、合格した人の体験談と解説サイトの目安から集めました。未経験の社会人・学生向けに、6週間の計画を表にしています。
出題範囲は、2026年10月26日にMCPC の公式ページで確認しました。用語の説明は、もちこ道場の問題と解説をもとにまとめたものです。