第6章 IoTでデータを活用するの要点
データの種類、統計、機械学習、生成AIの用語を整理
- 第6章は、IoT で集めたデータをどう分析し、AI で活用するかの章です。データの種類、統計、機械学習、ニューラルネットワーク、生成AI まで出ます。
- 教師あり・教師なし・強化学習、CNN・RNN・GAN のように、手法の名前と特徴の組み合わせが問われます。
- 用語は「データ・統計・学習の種類・モデル・生成AI・連携」で6つに分けると、覚えやすくなります。
この章で問われること
第6章「IoTでデータを活用する」は、IoT で集めたデータを分析して価値に変えるための知識を扱います。前の第5章までが「集めて運ぶ」話だったのに対し、ここからは「使う」話です。次の第7章は、そのデータやシステムを守る情報セキュリティです。
本番の60問のうち、第6章からは7問前後と予想しています。もちこ道場の模擬試験(60問・60分)は、全8章からほぼ均等に問題を出す作りで、第6章からは7問を出しています。試験全体の約12%にあたります。
もちこ道場の第6章の問題は90問です。本番と同じ3つの形式に分けると、次のようになります。
| 形式 | 問題数 |
|---|---|
| 穴埋め(1か所) | 30問 |
| 穴埋め(組み合わせ) | 30問 |
| 誤った記述を選ぶ | 30問 |
出てくる用語は、次の6つのまとまりに分けると整理しやすくなります。
6つのまとまりと押さえる用語
1. データの種類
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| ビッグデータの3V | 量(Volume)、多様性(Variety)、速度(Velocity) |
| 構造化データ | 行と列で整理できるデータ |
| 非構造化データ | 行と列の概念がなく、構造が定義されていない(PDF、音声、画像、動画など) |
| マルチモーダル | テキスト、画像、音声など、種類の違うデータをあわせて扱う |
2. 統計の基本
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 正規分布 | 社会・自然現象のばらつきの確率を表す標準的なモデル。平均と標準偏差から求める |
| 分散 | データのばらつき度。平均値から遠いデータが多いほど大きい |
| ヒストグラム | データを一定の幅の区間に区切り、各区間の度数を示す(度数分布) |
| 相関係数 | -1 から +1 で関係の強さを表す。プラスが正の相関、マイナスが負の相関 |
| 回帰分析 | 相関の強い2つの変数の関係を回帰直線で表し、一方から他方を予測する |
3. 機械学習の種類
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 教師あり学習 | 入力と正解データを組み合わせて学習し、ルールを作る |
| 教師なし学習 | 正解データを使わず、データどうしの近さなどを自動で計算する |
| 強化学習 | 行動の結果の評価を報酬として受け取り、試行錯誤で報酬の合計を最大化する |
| エージェント | 強化学習で、学習の主体になるもの(もう一方が環境) |
4. ニューラルネットワーク
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 隠れ層 | 深層学習で、入力層と出力層の間に複数ある層。学習で特徴を抽出する |
| CNN | 畳み込みニューラルネットワーク。画像認識で広く使われる |
| RNN | 再帰型。以前の情報を保持し、音声など時系列データの学習に使われる |
| GAN | 敵対的生成ネットワーク。生成器と識別器を競わせて、本物に近い画像を作る |
| Transformer | Self-Attention で文中の単語どうしの関係から文脈を読む。LLM の根幹 |
| 拡散モデル | ノイズを加える過程と、ノイズを除いて元に近づける過程を使う |
| AlexNet | 2012年の画像認識コンテストで、CNN をもとに優勝し、深層学習が広く知られた |
5. 生成AI と LLM
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| ファインチューニング | 学習済みの基盤モデルに追加の学習データを与え、特定分野に特化させる |
| 知識蒸留 | 既存の教師モデルの入出力から、同等の知識を持つ小型の生徒モデルを作る |
| SLM | LLM の小規模版。パラメータ数を抑え、エッジデバイスでも動く |
| RAG | 独自の情報を外部のデータベースに蓄え、回答のときに質問とあわせて使う |
| 創発現象 | モデルのサイズなどを拡大し続けると、ある段階で突然性能が大きく向上する |
| エンコーダ・デコーダ | エンコーダが入力の特徴を取り出し、デコーダがそれを手がかりに出力する |
6. 現実との連携
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| デジタルツイン | 現実の空間をサイバー空間でリアルタイムに再現し、結果を現実側へ返す |
| RAMI4.0 | Industrie4.0 が定義した、CPS 構築のための参照モデル |
| A2A | Agent to Agent。異なるベンダーの AI エージェントどうしが連携するためのプロトコル |
取り違えやすい組み合わせ
選択肢には、同じまとまりの用語が並びます。次の組み合わせは、一言で言い分けられるようにしておきます。
| 組み合わせ | 見分け方 |
|---|---|
| 教師あり学習と教師なし学習 | 正解データを使う(あり)か、使わない(なし)か |
| 強化学習と教師あり学習 | 報酬を最大にする試行錯誤(強化)か、正解との組み合わせで学ぶ(教師あり)か |
| CNN と RNN | 画像に強い(CNN)か、時系列データに強い(RNN)か |
| ファインチューニングと知識蒸留 | 特定分野に再学習する(ファインチューニング)か、小型のモデルに知識を移す(知識蒸留)か |
| RAG とファインチューニング | 外部のデータベースの情報を回答時に使う(RAG)か、モデルを再学習する(ファインチューニング)か |
| 構造化データと非構造化データ | 行と列で整理できるか、できないか |
| 分散と相関係数 | ばらつきの大きさ(分散)か、2つのデータの関係の強さ(相関係数)か |
この章の勉強の進め方
- 6つのまとまりの名前を覚え、用語を見たら「どのまとまりの話か」を言えるようにします。
- 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
- 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。
勉強の全体の計画は「勉強時間の目安と1か月の計画」にまとめています。
第6章の問題を2問、解いてみる
もちこ道場の第6章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。
問1
迷惑メールの分類など、入力データとともに、そのデータに対する正解が何かを示す正解データをコンピュータに大量に与えることでルールを生成する機械学習の手法を1という。
答えと解説を見る
正解は 4(教師あり学習)です。
【概要】
教師あり学習は、入力データとそれに対する正解データを組み合わせて大量に学習させ、迷惑メールの分類などのルールを生成する手法である。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. 強化学習あなたの解答 強化学習は、試行錯誤を通じて得られる報酬が最大になる行動を学ぶ手法であり、正解データを与えて学ぶものではない。
- 2. 教師なし学習あなたの解答 教師なし学習は、正解データを使わずにデータ間の近さなどを自動的に計算する手法であり、正解付きで学ぶものではない。
- 3. 過学習あなたの解答 過学習は、学習データに過度に適合して未知のデータへの予測精度が下がる状態であり、学習手法の名称ではない。
- 4. 教師あり学習正解あなたの解答 教師あり学習は、メール本文と迷惑メールか否かの判定を組にして学習させ、分類のルールを作る。
問2
大規模言語モデル(LLM)に対して自社の独自データなどを活用した回答をさせたい場合に、外部データベースから関連情報を検索し、その情報をプロンプトと一緒にLLMに渡して回答を生成させる手法を1という。
答えと解説を見る
正解は 2(RAG)です。
【概要】
RAGは検索・拡張・生成を意味し、自社などの独自情報を外部データベースに蓄え、回答の際にその情報を質問とともにLLMへ渡す方式である。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. ファインチューニングあなたの解答 ファインチューニングは、追加の学習データでモデル全体を再学習する手法であり、回答時に外部情報を検索して渡す方式ではない。
- 2. RAG正解あなたの解答 RAGは、自社データなどの独自情報を外部データベースから取り出し、プロンプトとともにLLMへ渡して回答させる。
- 3. 知識蒸留あなたの解答 知識蒸留は、教師モデルの入出力を用いて小型の生徒モデルを作る手法であり、外部の情報を検索して回答させる方式ではない。
- 4. MCPあなたの解答 MCPは、外部のツールやサービスの処理結果を活用する仕組みであり、本問の外部データベース検索による回答生成とは別である。
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よくある質問
第6章はどの章とつながっていますか?
第5章までは、データを集めて運ぶまでの話でした。第6章はその先で、集めたデータを分析して使う話です。第1章で出た AI ブームや、データの循環の考え方の続きでもあります。
教師あり学習と教師なし学習は、どう見分けますか?
正解データを使うかどうかです。教師あり学習は、入力と正解を組み合わせて学習します(迷惑メールの分類など)。教師なし学習は、正解データを使わずに、購買データなどから商品どうしの近さを自動で計算します。
ファインチューニング、知識蒸留、RAG は何が違いますか?
ファインチューニングは、学習済みのモデルに追加のデータを与えて再学習し、特定の分野に特化させます。知識蒸留は、既存のモデルの入出力を使って、小型のモデルに同等の知識を持たせます。RAG は、独自の情報を外部のデータベースに蓄え、回答のときにその情報を使います。
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出題範囲は、2026年10月26日にMCPC の公式ページで確認しました。用語の説明は、もちこ道場の問題と解説をもとにまとめたものです。