第7章 情報セキュリティを知るの要点
3要件、攻撃と防御、デバイスの保護、個人情報の用語を整理
- 第7章は、IoT システムを守るための情報セキュリティの章です。3つの要件、攻撃の種類、防御と認証、デバイスの保護、個人情報の扱いまで出ます。
- ホワイトリストとブラックリスト、境界防御とゼロトラスト、匿名加工情報と仮名加工情報 のような対の用語の違いが問われます。
- 用語は「何を守る・何から守る・どう守る」で6つに分けると、覚えやすくなります。
この章で問われること
第7章「情報セキュリティを知る」は、IoT システムとそのデータを守るための知識を扱います。前の第6章までで、IoT のデータが集まり、使われることを学びました。ここでは、それを脅威から守る考え方と技術を整理します。
本番の60問のうち、第7章からは7問前後と予想しています。もちこ道場の模擬試験(60問・60分)は、全8章からほぼ均等に問題を出す作りで、第7章からは7問を出しています。試験全体の約12%にあたります。
もちこ道場の第7章の問題は90問です。本番と同じ3つの形式に分けると、次のようになります。
| 形式 | 問題数 |
|---|---|
| 穴埋め(1か所) | 30問 |
| 穴埋め(組み合わせ) | 30問 |
| 誤った記述を選ぶ | 30問 |
出てくる用語は、次の6つのまとまりに分けると整理しやすくなります。
6つのまとまりと押さえる用語
1. 守る対象と分類
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 機密性 | 許可されない者には、情報へアクセスさせない(3要件の1つ) |
| 可用性 | 権限のある人が必要なときに、確実に情報へアクセスできる |
| 完全性 | 情報が正確で、改ざんや欠けがない状態を保つ |
| 論理セキュリティ | 認証・暗号化・アクセス制御などのシステムセキュリティと、人的セキュリティを含む(物理セキュリティと対) |
| 人的セキュリティ | セキュリティポリシーの策定・運用や、人材育成を扱う |
| ISMS | 情報セキュリティマネジメントシステム。ISO/IEC/JIS Q 27001 に基づく |
2. リスクへの対処
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 回避・低減・受容・移転 | リスク対処法の4つ |
| 移転 | リスクを伴う部分を、他社や別のシステムに引き受けさせる |
| レジリエンス | 異変を起こしたときに、正常な動作へ回復できる能力 |
3. 攻撃と脅威
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| ゼロデイ攻撃 | 脆弱性が見つかってから、修正プログラムが出る前を狙う |
| 標的型攻撃 | 特定の組織や人を狙い、関係者を装った巧みなメールなどで不正なファイルを開かせる |
| ソーシャルエンジニアリング | 技術ではなく人の心理の隙を突き、話術でパスワードなどを聞き出す |
| ショルダーサーフィン | 画面やキー入力を肩越しにのぞき見て、パスワードなどを盗む |
| パスワードクラック | 推測や総当たりなどで、パスワードを割り出す |
| サービス妨害攻撃 | 大量の通信などを送りつけて、サービスを使えなくする |
4. 防御と認証
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| ブラックリストルール | ファイアウォールで、不要な通信だけを明示的に禁止し、残りを許可する |
| ホワイトリストルール | 必要な通信だけを明示的に許可し、残りを全て破棄する |
| 境界防御 | 外部との境目にファイアウォールなどを置き、内側を安全とみなす従来の考え方 |
| ゼロトラスト | 内側も安全とみなさず、全てのエンドポイント間で認証・認可を行い、通信も暗号化する |
| 認証の3要素 | 知識・所有・生体 |
| IP-VPN | 通信事業者がインターネットとは別に構築した WAN に、専用の VPN 機器で接続する |
| 公開鍵暗号方式 | 公開鍵で暗号化し、対になる秘密鍵でだけ復号できる方式 |
5. デバイスの保護
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 耐タンパー性 | 盗難に遭ったデバイスの内部情報へのアクセスの難しさ |
| セキュアブート | 起動のとき、署名が登録済みのファームウェアやドライバかを確かめる |
| HSM | 暗号鍵の安全な管理を担う専用ハードウェア |
| MDM | 業務端末のセキュリティを、管理部門がまとめて管理するツール |
| ハートビート | デバイスが正常に動いているかを確かめる死活監視 |
6. 個人情報と法令・設計
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| k-匿名性 | 保護属性の組み合わせが等しいデータが k 個以上そろうように変換する指標 |
| 仮名加工情報 | 2020年の改正個人情報保護法で新設。ほかの情報と照合しない限り個人を識別できない |
| GDPR | EU の一般データ保護規則 |
| プライバシー・バイ・デザイン | 仕様の段階から、プライバシー保護を検討し実践する概念 |
| ブロックチェーン | 分散型台帳により、信頼性を利用者全員で担保する技術の総称 |
| フェアユース | 公正な利用であれば、権利者の許可なく著作物を使える場合があるという、米国の著作権法の考え方 |
取り違えやすい組み合わせ
選択肢には、対になる用語が並びます。次の組み合わせは、一言で言い分けられるようにしておきます。
| 組み合わせ | 見分け方 |
|---|---|
| ブラックリストとホワイトリスト | 禁止するものを決める(ブラック)か、許可するものを決める(ホワイト)か |
| 境界防御とゼロトラスト | 内側を安全とみなす(境界防御)か、みなさない(ゼロトラスト)か |
| 機密性と可用性 | 許可されない者に見せない(機密性)か、必要なときに確実に使える(可用性)か |
| 論理セキュリティと人的セキュリティ | システムの仕組み(認証など)か、ポリシーや人材育成か |
| ゼロデイ攻撃と標的型攻撃 | 修正前の脆弱性を突く(ゼロデイ)か、関係者を装って狙う(標的型)か |
| セキュアブートと HSM | 起動時の署名確認(セキュアブート)か、暗号鍵の管理(HSM)か |
| 仮名加工情報と匿名加工情報 | ほかの情報と照合しなければ個人が分からない形にして、社内で詳しい分析に使う(仮名)か、個人が分からず元にも戻せない形にする(匿名)か |
この章の勉強の進め方
- 6つのまとまりの名前を覚え、用語を見たら「どのまとまりの話か」を言えるようにします。
- 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
- 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。
勉強の全体の計画は「勉強時間の目安と1か月の計画」にまとめています。
第7章の問題を2問、解いてみる
もちこ道場の第7章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。
問1
社内ネットワークなどの境界内部であっても安全とは見なさず、「何も信頼しない」という前提に立って全てのエンドポイント間で認証・認可を行う考え方を示す言葉として、近年のセキュリティにおいて、従来の境界防御の限界から広まりつつあるこの概念は1と呼ばれる。
答えと解説を見る
正解は 1(ゼロトラスト)です。
【概要】
ゼロトラストは、境界の内側も安全とみなさず、全てのエンドポイント間で認証・認可を行い通信も暗号化する考え方であり、境界防御の限界から広がっている。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. ゼロトラスト正解あなたの解答 ゼロトラストは、何も信頼しない前提に立ち、アクセスのたびに認証・認可を行い暗号化して通信する考え方である。
- 2. セキュアブートあなたの解答 セキュアブートは、起動時に署名済みのファームウェアなどを検証して不正な起動を防ぐハードウェアの仕組みである。
- 3. フェアユースあなたの解答 フェアユースは、公正な利用と評価されれば無許諾の著作物利用も侵害としない米国などの制度であり、認証の考え方ではない。
- 4. プライバシー・バイ・デザインあなたの解答 プライバシー・バイ・デザインは、設計段階からプライバシー保護を組み込む概念であり、アクセスの信頼に関する考え方ではない。
問2
ハードウェアによるセキュリティ機能の一つであり、起動の際に、事前に署名登録されたファームウェアやドライバを検証することで、改変されたファームウェア等からのシステム起動を防止する仕組みを指す言葉として、この技術は1と呼ばれる。
答えと解説を見る
正解は 3(セキュアブート)です。
【概要】
セキュアブートは、起動の際に署名が登録済みのファームウェアやドライバを確かめ、別のOSや改ざんされたファームウェアによる起動を防ぐハードウェアの仕組みである。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. ARM TrustZoneあなたの解答 ARM TrustZoneは、CPU内で通常の環境とトラストゾーンを分けて守る仕組みであり、起動時の検証ではない。
- 2. HSMあなたの解答 HSMは、暗号鍵を内部に保持したまま暗号処理や電子署名を行う専用ハードウェアであり、起動時の検証機能ではない。
- 3. セキュアブート正解あなたの解答 セキュアブートは、起動時に署名済みのファームウェアやドライバを検証し、改変されたものからの起動を防ぐ。
- 4. TPMあなたの解答 TPMは、鍵の保管や暗号処理を担うセキュリティチップであり、起動するプログラムの署名を検証する仕組みの名称ではない。
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よくある質問
第7章はどの章とつながっていますか?
第5章の通信方式、第6章のデータ活用のどちらにも、守る仕組みが必要です。第2章のプラットフォームの「セキュリティ管理」の機能も、ここで学ぶ内容とつながります。
認証の3要素は何ですか?
知識(パスワードのように本人が知っていること)、所有、生体(指紋・静脈・虹彩・顔・音声など本人固有の身体的な情報)です。
境界防御とゼロトラストは何が違いますか?
境界防御は、外部との境目にファイアウォールなどを置き、内側を安全とみなす従来の考え方です。ゼロトラストは、内側も安全とみなさず、全てのエンドポイント間で認証・認可を行い、通信も暗号化します。
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出題範囲は、2026年10月26日にMCPC の公式ページで確認しました。用語の説明は、もちこ道場の問題と解説をもとにまとめたものです。