境界防御とゼロトラストの違い
内側を安全とみなすか、みなさないか
- 境界防御とゼロトラストは、ネットワークの内側をどう扱うかが違うセキュリティの考え方です。
- 境界防御は、境界の内側を安全とみなして外部からの侵入を防ぎます。ゼロトラストは、内側も安全とみなさず、すべてのエンドポイント間で認証・認可を行います。
- 境界防御には、侵入後の被害や内部不正に弱いという限界があります。ゼロトラストは、その限界から広がってきました。
境界防御とは
境界防御は、外部のネットワークとの境目にファイアウォールなどを置き、外部からの不正なアクセスを内部に入れないようにする、従来の考え方です。境界の内側は安全とみなします。ただし、いったん内側に侵入されたあとの被害や、内部不正に弱いなどの限界があります。
ゼロトラストとは
ゼロトラストは、何も信頼しないという考え方です。社内ネットワークなどの境界の内側であっても、安全とはみなしません。境界の内外を区別せず、すべてのエンドポイント間で認証・認可を行い、通信も暗号化します。境界防御の限界から広がっています。
違いを表で比べる
| 比べること | 境界防御 | ゼロトラスト |
|---|---|---|
| 境界の内側 | 安全とみなす | 安全とみなさない |
| 守り方 | 外部との境目にファイアウォールなどを置く | すべてのエンドポイント間で認証・認可を行い、通信を暗号化する |
| 弱いところ・広がった理由 | 侵入されたあとの被害や内部不正に弱い | クラウドやテレワークで境界があいまいになり、境界防御の限界から広がった |
試験での問われ方
IoTシステム技術検定 基礎では、第7章「情報セキュリティを知る」で出ます。もちこ道場の第7章の問題では、次のような問われ方をしています。
- 穴埋め: 「境界の内側であっても安全とみなさず、何も信頼しない考え方」「外部との境目で不正アクセスを防ぎ、内側を安全とみなす従来の考え方」の空欄に、ゼロトラストか境界防御かを選ぶ。
- 選択肢の並び: 境界防御の問題には多層防御やプロアクティブ防御が、ゼロトラストの問題にはセキュアブートやプライバシー・バイ・デザインが並びます。用語の意味から、一つずつ消していきます。
覚え方
- ゼロトラストは「信頼がゼロ」。内側も外側も信頼しないので、通信のたびに確かめます。
- 境界防御は「境目で守る」。境目の中は安全という前提です。内側を信頼するかどうかで見分けます。
- 問題文に「境界の内側も安全とみなさない」「全てのエンドポイント間で認証・認可」とあればゼロトラスト、「外部との境目」「内側を安全」とあれば境界防御です。
第7章のほかの用語は「第7章 情報セキュリティを知るの要点」にまとめています。
第7章の問題を2問、解いてみる
もちこ道場の第7章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。
問1
インターネットとの間にファイアウォールなどの装置を置き、外部からの不正アクセスが内部に及ばないようにする従来のセキュリティの考え方を指す言葉として、「内側は安全である」という前提に立つこの考え方は1と呼ばれる。
答えと解説を見る
正解は 1(境界防御)です。
【概要】
境界防御は、外部ネットワークとの境目にファイアウォールなどを置き、外部からの不正アクセスを内部に入れないことで、境界の内側を安全とみなす従来の考え方である。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. 境界防御正解あなたの解答 境界防御は、境界に防御装置を置いて外部からの侵入を防ぎ、境界の内側は安全とみなす考え方である。
- 2. 多層防御あなたの解答 多層防御は、複数の対策を重ねて1つが破られても守れるようにする考え方であり、内側を安全とみなす前提ではない。
- 3. ゼロトラストあなたの解答 ゼロトラストは、境界の内外で区別せず全てのアクセスを認証・認可する考え方で、境界防御の限界から広まった。
- 4. プロアクティブ防御あなたの解答 プロアクティブ防御は、攻撃を受ける前に先回りして脅威に備える考え方であり、境界の内側を安全とみなすものではない。
問2
ファイアウォールの運用において、必要な通信だけを明示的に許可し、その他の通信は全て破棄するルールの設計方針を示す言葉として、外部ネットワークから内部ネットワークに向かう通信のセキュリティ対策でよく利用されるこの方針は1と呼ばれる。
答えと解説を見る
正解は 1(ホワイトリストルール)です。
【概要】
本問はホワイトリストルールを問う。ファイアウォールのルール設計で、必要な通信だけを明示的に許可して残りを全て破棄する方針であり、外部から内部への通信の対策によく使われる。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. ホワイトリストルール正解あなたの解答 ホワイトリストルールは、必要な通信のみを許可しそれ以外を全て破棄する方針で、外部から内部への通信に用いられる。
- 2. ブラックリストルールあなたの解答 ブラックリストルールは、不要な通信だけを禁止して残りを許可する方針で、内部から外部への通信によく使われる。
- 3. シグネチャルールあなたの解答 シグネチャルールは、既知の攻撃パターンと一致する通信を検知するための規則であり、必要な通信だけを許す方針ではない。
- 4. グレーリストルールあなたの解答 グレーリストルールは、判断のつかない送信元をいったん保留扱いにする方式であり、必要な通信だけを許可する方針ではない。
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よくある質問
ゼロトラストでは、通信を暗号化するのですか?
はい。ゼロトラストは、境界の内外を区別せず、すべてのエンドポイント間で認証・認可を行い、通信も暗号化する考え方です。境界の内側だからという理由では信頼しない、という点が境界防御との違いです。
多層防御とは何が違いますか?
多層防御は、入口・内部・出口などに対策を何重にも重ね、1つが破られてもほかで食い止める考え方です。境界防御とゼロトラストは「内側を信頼するかどうか」の考え方の違いで、多層防御は「対策を重ねるかどうか」なので、比べる軸が違います。
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